百人一首 散らし取り
古くから行われた百人一首遊びかたのひとつで、あまり競争意識ははたらかない。以下のようなルールに従う。
読み手を選ぶ(ふつうは一人)。
読み札をまとめて読み手に渡し、取り札は百枚すべてを畳の上などに散らして並べる。
取り手は何人でもかまわない。みなで取り札のまわりを囲む。このとき不平等にならないように、取り札の頭はそれぞればらばらな方を向いているようにならなければならない。
読み手が読み札を適当に混ぜてから、札の順に歌を読み上げる。
歌が読み始められたら、取り手は取り札を探して取ってかまわない。基本的に早い者勝ち。
同時に何人もが同じ札をおさえた場合には、手がいちばん下にある人がこれを取る権利を持つ。
間違った札を取った場合(お手つき)には何らかの罰則が行われるが、源平のようにしっかりとした決まりごとはない。
百枚目を取ったところで終了。最も多くの札を取った人が勝ちである。
本来は読み札には上の句しか書いてなかったために、この遊びかたは百人一首を覚えるうえでも、札の取り合いとしても、それなりの意味があったのだが、現在では読み札に一首すべて書いてあるために、本来の意図は見失われている。ただし大人数で同時に遊ぶためには都合のいい遊びかたで、かつてのかるた会などではたいていこの方法によっていた。
お散らしに限らず、江戸時代までは読み手は作者の名前から順に読み上げ、上の句が終わったところで読むことをやめるのが常であった。
現在では作者名をはぶき、最後まで読んでしまう(なかなか取り手が取れない場合には下の句を繰りかえす)。
読みかたに関しては上の句と下の句のあいだで間をもたせすぎるのはよくないといわれるが、本来の遊び方からいえばナンセンスな問題ともいえる。